学生発表優秀賞

学生発表優秀賞は、口頭発表部門、ポスター発表部門の2部門で、各部門1名を表彰します。

なぜ、「学生発表優秀賞」を設けるのか。

医師、歯科医師、看護師のモデル・コア・カリキュラムでは、求められる基本的な資質・能力の一つとして、共通して「科学的探究」が挙げられています。リサーチマインドは医療者に欠かせない能力であり、この能力を獲得するための科目が配置されています。一方、柔道整復師養成においては、モデル・コア・カリキュラムが策定されておらず、教育目標としてリサーチマインドの涵養は片隅にもないというのが現状といえます。そもそも日常の臨床で生じる課題に対し、科学的根拠に基づいて解決する手法を教授できる教員が少ないことが要因です。しかし、今後、柔道整復師が国民からも多職種からも信頼され連携を図るためには、他の医療者と同様に、科学的根拠に基づいて課題を解決するという思考を身につけなければなりません。

現在の養成施設の状況で、学生発表をする学生は、その指導教員も含めて希有な存在といえます。学生の時から実験や調査をしてデータをまとめ発表するという経験は極めて貴重で、その経験は将来、根拠に基づく柔道整復術(EBJT; Evidence Based Judo Therapy)の確立に寄与することが期待されます。そこで、日本柔道整復接骨医学会は、ほとんどの養成施設で課外活動として行われている研究指導に対して敬意を表し、特に優秀な発表をした学生を表彰することで、「科学的探究」という基本的な資質・能力の養成に関心を集め、柔道整復師においてもリサーチマインドの重要性への認識を深めたいことから、「学生発表優秀賞」を設けることとしました。

評価の基準と意図

「学生発表優秀賞」は、選考に際し、評価項目をあらかじめ公表します。評価項目は、以下の10項目です。

  1. 構造抄録である。
  2. 倫理的配慮がスライドまたはポスターに明記されている。
  3. 利益相反(COI)が開示されている。
  4. 研究の目的が明確である。
  5. 目的を達成するための方法が適切である。
  6. 結果がわかりやすく示されている。
  7. 結果の分析、統計処理が適切である。
  8. 考察は、目的および結果と整合性がある。
  9. スライドまたはポスターは見やすく工夫されている。
  10. 目的、方法、結果、考察のバランスが適切である。

これらを、審査員が実際に発表やポスターを見て評価(採点)します。これらの項目をあらかじめ確認してスライドやポスターを作成して発表することで、プレゼンテーションの質が向上します。これこそが「学生発表優秀賞」を設けた意図です。

学生発表に望むこと

基本的な考え方として、学生発表の「学生」は、養成施設の在学生です。したがって、「学生発表優秀賞」の対象は、養成施設の在学生のみです。養成施設を卒業し、柔道整復師の資格を有する大学院生等は対象ではありません。そのため、「学生発表優秀賞」の対象となる学生発表では、いわゆる高度な研究内容を望むものではありません。例えば、教員が研究した内容を学生が発表している場合は賞の対象とはなりません。学生自身による着想で、学生自身が主体的に研究し、それを指導教員がサポートして発表するというのが理想的なパターンの一つといえます。

選考の方法(概要・予定)

  1. 採点する選考委員は、口頭発表、ポスター発表それぞれ2名です。
  2. 選考委員はプレゼンテーションを評価項目に基づいて採点し、2名の平均点を評価点とします。
  3. 筆頭発表者及び共同発表者が選考委員の関係者の場合は、その選考に関わりません。
  4. 採点結果をもとに、会長が受賞者を決定します。

表彰式の日時

日時:12月3日(日) 12時30分~12時50分
場所:A会場

※表彰対象者は、表彰会場にて発表しますので、学生発表の筆頭発表者は12時30分までにA会場にお越し下さい。


 

学生発表優秀賞の受賞者について

厳正なる審査の結果、第32回学術大会「学生発表優秀賞」の受賞者は以下の通り決定されました。

【口頭発表部門】

杉崎 隆慈(日本体育大学保健医療学部整復医療学科)
    演題:筋への伸長刺激と温熱刺激がハムストリングの柔軟性と筋硬度に及ぼす影響

【ポスター発表部門】

※採点の結果、最高点で同点であったため2名が選考されました。

高木 雄大(履正社国際医療スポーツ専門学校)
    演題:コンプレフロスの有用性

宮本 紗帆(東京有明医療大学)
    演題:ボウリング投球時の母指テーピングがパフォーマンスに及ぼす影響

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